ガラスと防犯に関するQ&A

防犯ガラスはどうして防犯性能が高いのですか?
ガラスの防犯性能は、「突き破りにくさ」にあります。それは、泥棒が侵入に時間がかかるのを嫌うからです。(侵入に5分以上かかると7割以上の泥棒があきらめると言われています。)防犯ガラスは厚い中間膜が柔軟で強靭に働きますので、ガラスが割れても泥棒が突き破るには時間がかかるのです。
防犯ガラスは絶対に泥棒に入られないの?
防犯ガラスは絶対に泥棒に入られないわけではありません。防犯ガラスの目的は、泥棒に侵入をあきらめさせることにあります。侵入に時間がかかると大半の泥棒があきらめます。ですから、防犯ガラスに錠やサッシや他の防犯設備と組み合わせると、さらに防犯効果を高めることができるのです。
防犯ガラスを使うことを薦めている建物はあるのですか?
共同住宅(マンションなど)では、侵入盗から居住者の資産や安全を守るため、防犯ガラスの採用が薦められています(警察庁・国土交通省「共同住宅における防犯上の留意事項」)。1階や2階だけでなく、最上階のベランダも狙われやすいので注意が必要です。平成13年の統計では泥棒に入られた共同住宅の約20%がガラスを破って入られているのです。 その他にも、児童生徒の安全を守るために、学校施設の低層階の外部に面した窓には防犯ガラスの採用が薦められています(文部科学省「幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理についての点検項目(例)。」)
防犯ガラスは割れないのですか?
防犯ガラスも割れます。割れにくいガラスを防犯性能が高いと思いがちですが、ガラスの防犯性能は「突き破りにくさ」にあります。一般的なガラスの3~5倍の強度を持つ「強化ガラス」も防犯性能は決して高くはありません。ガラスが割れても突き破りにくく、窓から侵入するのに時間がかかるガラス、そんなガラスを泥棒は嫌うのです。
防犯ガラスと合わせガラスはどう違うのですか?
中間膜の厚さが違います。防犯ガラスの中間膜は30ミル(0.76mm)以上ですが、合わせガラスの中間膜は15ミル(0.38mm)しかありません。欧州の規格では、中間膜15ミルの合わせガラスには防犯性能を認めていません。
普通のガラスにフィルムを貼って防犯効果はありますか?
一般的なフィルムは、ガラスが飛び散るのを防ぐことを目的にしているので効果は期待できません。また、防犯性能を謳ったフィルムについては、欧米などの公的な規格に定められた試験に合格しているかを確認することが必要です。フィルムは定期的な貼り替えによりトータルコストが高くなりますし、施工の方法によっては効果が損なわれますので注意が必要です。
防犯ガラスの中間膜は何でできているのですか?
一般的にはPVB(ポリビニールブチラール)膜というプラスチックが使われています。熱と圧力をかけることで2枚のガラスを接着します。さらに高い耐貫通性や紫外線カット効果があります。
強化ガラスに防犯性能はないのですか?
強化ガラスに防犯性能は期待できません。一般的なガラスの3倍~5倍の強度を持つ強化ガラスも泥棒の手にかかると一般的なガラスと同じように破られてしまいます。
金網の入ったガラス(網入りガラス)には防犯性能はないのですか?
網入りガラスには防犯性能は期待できません。泥棒は一般的な透明ガラスとほとんど変わらない時間で侵入してしまいます。網入りガラスは、火災時の延焼や類焼を防ぐ効果があります。
網入りガラスも防犯ガラスにできますか?
できます。網入りガラスと透明ガラスなどを組み合わせて防犯ガラスにすることができます。ただガラスの厚さが10ミリ以上になるので、複層ガラスに使われているアタッチメントと呼ばれる厚さを変えるアダプターを使う(サッシが単板用サッシの場合)か、さらにもう1枚ガラスを組み合わせて複層ガラスにする(サッシが複層ガラス用サッシの場合)必要があります。詳しくはお近くの街のガラス屋さんにご相談ください。
泥棒はどうやってガラスを破って侵入するのですか?
泥棒の侵入方法は大きく分けて2種類あります。1つは「こじ破り」といってドライバーなどで音を立てずにひそかに侵入する方法です。住宅の侵入手口の大半は「こじ破り」です。もう1つは「打ち破り」といって、ガラスを壊す音をあまり気にせずに住人や警察が駆けつける前に盗みを終えようとする方法です。「打ち破り」は店舗や事務所に多い侵入手口です。
泥棒が一般的な透明ガラスを破るのにどれくらい時間がかかるのですか?
数秒から数十秒でガラスを破り、侵入してしまいます。ガラスが泥棒に狙われやすいのはこのためです。逆に泥棒は時間がかかるガラスを嫌がります。侵入に5分以上かかると7割以上の泥棒があきらめると言われています。防犯ガラスは突き破りにくく、侵入するのに時間がかかるガラスなのです。
ガラスを割って泥棒が侵入する割合はどれくらいあるのですか?
戸建て住宅で60%以上、共同住宅で約20%、事務所・店舗などで約30%という統計結果があります。ピッキングが注目されていますが、実はガラスのほうが狙われているのです。
防犯もできて省エネにもなるガラスはありますか?
あります。防犯ガラスを使った複層ガラスには、防犯効果と省エネ効果があります。その際には室内側に防犯ガラスを使うと防犯効果をさらに高めることができます。
海外にも防犯ガラスはあるのですか?
あります。わが国の防犯ガラスは欧米の防犯ガラスを参考にしています。ガラスの防犯性能についての公的な規格が日本にはまだないのですが、欧米には既にあり、それに基づいて防犯ガラスが認定されています。(欧米では、ガラスの防犯性能の規格が盗難保険の料率算定の基準にもなっているのです。)

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