ガラスと省エネ・防犯・防災
【災害時のガラスによる
被害防止について】
小学校施設整備指針・中学校施設整備指針
文部科学省では、「小学校施設整備指針」「中学校施設整備指針」の改訂が定期的におこなわれており、ガラスについて次の内容に改訂されています。(小学校施設整備指針)
「ガラスは、人体及びボール等の衝撃や、地震、風等の災害に対し破損しにくく、又は破損しても事故につながらないよう、各種ガラスの性能を十分に踏まえ、使用場所及び使用目的に適した種類、厚み、大きさのものを選択することが重要である。
また、衝突を防ぐため手すり等を設けたり、錯覚して衝突しないように、ガラスが認識できる工夫をすることが重要である。」としており、「ガラスの性能を十分に踏まえて」選択することが「重要」としています。
幼児児童生徒の安全確保及び
安全管理についての点検項目(例)
文部科学省は、大阪教育大学教育学部附属池田小学校の事件を踏まえ「幼児児童生徒の安全確保及び安全管理についての点検項目(例)」を改訂し、各地の教育委員会長及び知事宛に通知しました(平成13年8月31日付)。
ガラスについては、学校施設面における安全確保のため、教育委員会等において取り組むべき事項として、「必要に応じ低階層の外部に面する窓ガラスを防犯性能の高いものにしている。」という点検項目が新設されました。
学校におけるガラスの安全設計指針
本指針は社団法人文教施設協会によって策定され、文部科学省からその活用を薦められています(昭和62年7月)。
日常及び非日常(地震、風等の非常災害)におけるガラス破片によるけがから、幼児、児童及び生徒等を守ることを目的に、強化ガラスや合わせガラスの採用を促しています
- 目的
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この指針は、学校建築のガラス設計にあたり、日常及び非日常時におけるガラス破損によるけがから幼児、児童及び生徒等を守り、併せて維持、管理面を考慮したガラスの安全設計手法の確立を目的とする。
- 適用範囲
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この指針は、学校建築の校舎、屋内運動場等の新築、増改築及び改修時等における設計に適用し、対象は、開口部、出入口、間仕切り、その他のガラス使用部分とする。
- 安全設計
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◇安全設計の目的
日常の事故、非常災害によって起こる人体への災害を防止するために、学校における幼児、児童および生徒等の行動・作為に応じ、ガラスの安全性能を生かした総合的な安全設計を行う。
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◇総合的な安全設計
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[1] ガラスの持つべき安全性能
ガラスの持つべき安全性能は、1.「破損しにくいこと」、2.「加撃物が貫通しにくいこと」、3.「破片が飛散しにくいこと」、4.「破片が鋭利でなく、しかも小粒であること」に大別される。以下の表にこの安全性能に特に優れたガラスの品種を示す。
ガラスと安全性能 ガラス品種 安全性能 強化ガラス ・破損しにくい ・破片が鋭利でなく、しかも小粒である 合わせガラス ・加撃物が貫通しにくい ・破片が飛散しない 網入板ガラス ・火炎や火の粉の侵入を防ぐ -
[2] 日常の事故に対する安全設計
日常時における人体およびボール等のガラスへの衝撃に対し、ガラスが破損しにくく、又は破損してもガラスによるケガを防ぐように、幼児、児童及び生徒等の行動・行為と使用場所に応じて、ガラスの安全設計を行う。
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[3] 非常災害に対する安全設計
地震、風等の非常災害においては、ガラスが破損しにくく、又は破損しても事故につながらないよう、ガラスの安全性を生かした安全設計を行う。
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◇維持・管理を配慮した設計
安全設計を行うにあたっては、維持・管理を十分配慮した設計を行う。
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安全・安心ガラス設計施工指針(増補版)
「安全・安心ガラス設計施工指針(増補版)」は、2011年にとりまとめられた「安全・安心ガラス設計施工指針」に平成23年東北地方太平洋沖地震、平成24年つくば市竜巻等のガラス被害調査報告や各種ガラスの飛来物衝撃実験結果が加えられました。
本書では、「安全・安心ガラスの全体像」「ガラスの選定による対応策」「構法ごとの注意点」が具体的にまとめられ、付録には「ガラスを用いた開口部の安全設計指針」の別表、例題、実験等の解説、「防災に有効なガラスのガイドライン」の実験の解説、最近のガラスの事故事例、平成23年東北地方太平洋沖地震におけるガラス被害調査報告等が掲載されています。
本指針は、現時点での知見を基に、建築物におけるガラス部分の設計・施工の指針及び注意点等がまとめられており、設計者、施工者にとっての指標となっています。